今日は、おべんとばこさんの単独ライブ"おもてなし大作戦"のお手伝い。単独ライブは毎年、マセキ ユースから3〜4組のみ許される年1の一大イベント。今年は、1年間ライジングオレンジを盛り上げ続けた、おべんとばこさん、かが屋さん、サスペンダーズさんの3組。
AM10時、その3組に憧れと尊敬とほんの少しの悔しさを持って新宿シアターブラッツに入る。
舞台の設営に取り掛かった頃、オオハシさんが舞台上に現れる。緊張してるようにも眠たいようにも見える顔で「今日、よろしくな」と言われると、久しぶりにオオハシ節に触れられ、身が引き締まる気持ちと安堵の気持ちが同時にやってきた。しばらくして、中川さんも登場。冗談と呼ぶには品が良く、ボケと呼ぶほど押しつけがましくない絶妙な"ユーモア"で周囲は笑いに包まれている。
2人に会った時には、悔しさなど消えていた。とにかく2人の単独ライブに水を差す真似だけはしないようにと心に固く誓った。
思い返せばいついかなる時でも2人は優しかった。そして、面白かった。前のコンビで所属してた時から、話してて笑いを越えて幸せな気持ちになるのがおべんとばこの2人だった。最初にマセキ に入った時、人見知りと自信の無さによる、半ばやけくその"尖り"によってがんじがらめになっていた僕たちになんの躊躇もなく歩み寄ってくれた。
忘れられないのは前のコンビを解散した日、僕をさくら水産に連れて行ってくれて、今後の予定も未定であることを告げると「じゃあ、おべんとばこに入るか!」と2人で笑って誘ってくれた。自分でネタを考えていても自分の扱いに困る僕を。冗談でも、嬉しかった。何もなくなるわけではないことを教えてくれた。ライブの構成もこだわり抜いた中で、極力お手伝いに仕事が増えないように配慮されていて優しさの底は今も計り知れないでいる。それでもリハーサルでミスを連発してしまう無能な僕らを優しくフォローして頂き変に力が入り過ぎないムードで本番を迎えられた。ライブ中は仕事に集中していてネタをしっかりと見ることはできなかったけど劇場は終始、オオハシさんの大声とお客さんの笑い声が心地よく響き続けていた。
温まりきったエンディング、お手伝い紹介としてぼくたちフェーと、コルが一緒に出させていただいた。僅か10秒ほどの出演だったが、舞台上に上がったその瞬間、僕は今までに味わったことのない空気を吸った。見たことの無い景色をみた。ほんのり甘くて淡いピンク色だった。お客さんが笑っていて、僕も笑っていて、中川さんも、オオハシさんも、相方も、コルもみんな笑っていた。今までおべんとばこさんが積み上げてきたものが一瞬で、僕の中に染み込んできた。さくら水産で誘ってくれたあの日から約2年が過ぎ、僕は本当におべんとばこに入れてもらえたのだ。ひじきと大豆のあの甘いやつくらい要らないおかずである僕の満面の笑みは客席から観てめちゃくちゃ気色悪かっただろう、お客さんには大変申し訳ないがともあれとても貴重な経験をさせてもらった。
打ち上げは、公園だった。明日からも手伝いが続く僕たちへの粋な計らいだ。古風漂う昔ながらの公園はノスタルジーな気分を加速させ、僕たちは中学生の頃に戻ったように、馬鹿で、無粋で、値打ちのつかない笑いを飛び交わせた。
単独ライブ終わりの打ち上げなのに、1番下の後輩まで誰もが自然と好きな話が出来る空気にしてくれるおべんとばこの2人に、僕は最後まで最高のおもてなしを受けてしまっていたようだ。
✳︎ドリンクバー具志堅に「良い文章だった。」と褒めてもらえたので再掲致しました。